Office関連

MicrosoftのDictateアドインを試してみました。

Microsoftがハンズフリー入力をサポートするOffice用(Word、PowerPoint、Outlook)のアドイン「Dictate」をリリースしました。

Dictateは、Cortanaの音声認識技術を使って、マイクに向かって話した言葉をテキストに変換し、そのままOffice文書に入力、さらにリアルタイムで翻訳を行うこともでき、例えば、日本語で話した内容の翻訳結果を直接Office文書に入力することができます。

上の動画は、WordとPowerPointでDictateアドインを使用したときの様子をキャプチャーしたものですが、これを見ると、日本語で音声入力した内容が中国語や英語に翻訳され、文書に入力されていることが分かります。

もちろん、下の動画のように日本語をそのまま入力することもできます。

Dictateのシステム要件

Dictateアドインのシステム要件は下記の通りです。

  • OS:Windows 8.1以降
  • Office:Office 2013以降(32ビット版、64ビット版両対応)
  • .NET:.Net Framework 4.5.0以降

私は下記環境で動作確認を行いました。

  1. OS:Microsoft Windows 10 Pro 10.0.14393 ビルド 14393
  2. Office:Microsoft Office Home and Business 2013 15.0.4937.1000 32ビット

Dictateのインストール

Dictateは下記の手順で簡単に導入することができます。

  1. 公式サイトにアクセスします。
  2. Download for Office 32-bit」ボタン(64ビット版Officeを使っている場合は「For Office 64-bit click here」)をクリックし、インストーラーをダウンロードします。
  3. 手順2.でダウンロードしたインストーラーを実行し、指示に従ってインストールを行います。
  4. Officeアプリケーション(Word、PowerPoint、Outlook)を起動し、「Dictation」タブが追加されていれば、インストール終了です。

音声入力による操作

音声によるテキスト入力は上の動画で紹介した通りですが、Dictateは音声入力によって、Officeのコマンドを実行することもでき、下の動画では「new line」(改行)と「stop dictation」(音声入力停止)を実行しています。

いまのところ実行できるコマンドは下記の通り(英語のみ)で決して多くはありませんが、今後のバージョンアップで増えていくかもしれません。

  • New Line: Takes cursor to new line
  • Delete: Removes the last line you dictated
  • Stop Dictation: Terminates the dictation session
  • Full stop or period: Types period character (.)
  • Question mark: Types (?)
  • Open Quote: Types (“)
  • Close Quote: Types (”)
  • Colon: Types (:)
  • Comma: Types (,)

http://dictate.ms/ より

Dictateの仕組み

Type with your voice using Dictate, a new Microsoft Garage project」に書いてある通り、Dictateは、Bing Speech APIMicrosoft Translatorなどの、Microsoft Cognitive Servicesに組み込まれた最先端の音声認識と人工知能を使用しています。

Dictateアドインの実行中にネットワークキャプチャーしてみると、各APIが呼び出されているのがよく分かります。

Dictateの対応言語

現時点(2017/6/21 時点)では、Dictateは下記言語に対応しています。

音声入力(From)
  1. Arabic (Egypt)
  2. Chinese (China)
  3. Danish (Denmark)
  4. Dutch (Netherlands)
  5. English (Australia)
  6. English (Canada)
  7. English (India)
  8. English (United Kingdom)
  9. English (US)
  10. Finnish (Finland)
  11. French (Canada)
  12. French (France)
  13. German (Germany)
  14. Hindi (India)
  15. Italian (Italy)
  16. Japanese (Japan)
  17. Korean (Korea)
  18. Norwegian (Norway
  19. Polish (Poland)
  20. Portuguese (Brazil)
  21. Russian (Russia)
  22. Spanish (Mexico)
  23. Spanish (Spain)
  24. Swedish (Sweden)
リアルタイム翻訳(To)
  1. Afrikaans
  2. Arabic
  3. Bangla
  4. Bosnian
  5. Bulgarian
  6. Cantonese (Traditional)
  7. Catalan
  8. Chinese
  9. Chinese Simplified
  10. Chinese Traditional
  11. Croatian
  12. Czech
  13. Danish
  14. Dutch
  15. English
  16. Estonian
  17. Fijian
  18. Filipino
  19. Finnish
  20. French
  21. German
  22. Greek
  23. Haitian Creole
  24. Hebrew
  25. Hindi
  26. Hmong Daw
  27. Hungarian
  28. Indonesian
  29. Italian
  30. Japanese
  31. Kiswahili
  32. Klingon
  33. Korean
  34. Latvian
  35. Lithuanian
  36. Malagasy
  37. Malay
  38. Maltese
  39. Norwegian
  40. Persian
  41. Polish
  42. Portuguese
  43. Queretaro Otomi
  44. Romanian
  45. Russian
  46. Samoan
  47. Serbian (Cyrillic)
  48. Serbian (Latin)
  49. Slovak
  50. Slovenian
  51. Spanish
  52. Swedish
  53. Tahitian
  54. Thai
  55. Tongan
  56. Turkish
  57. Ukrainian
  58. Urdu
  59. Vietnamese
  60. Welsh
  61. Yucatec Maya

Dictateの実体

私の環境で確認したところ、Dictateをインストールすると、「C:\Program Files (x86)\Microsoft\Dictate 1.0」フォルダに下記ファイルが作成されました。

  • CoginitiveFacade_64.dll
  • Microsoft.Office.Tools.Common.v4.0.Utilities.dll
  • Microsoft.Office.Tools.dll
  • Microsoft.Office.Tools.Outlook.v4.0.Utilities.dll
  • Microsoft.Office.Tools.v4.0.Framework.dll
  • Microsoft.Threading.Tasks.dll
  • Microsoft.Threading.Tasks.Extensions.Desktop.dll
  • Microsoft.Threading.Tasks.Extensions.dll
  • OutlookDictation64.dll
  • OutlookDictation64.dll.config
  • OutlookDictation64.dll.manifest
  • OutlookDictation64.vsto
  • PowerPointDictate_64.dll
  • PowerPointDictate_64.dll.config
  • PowerPointDictate_64.dll.manifest
  • PowerPointDictate_64.vsto
  • SpeechClient.dll
  • TextProcessor.dll
  • WordDictate.dll
  • WordDictate.dll.config
  • WordDictate.dll.manifest
  • WordDictate.vsto

これを見ると、DictateはVSTOで作成されたOfficeアドインであることが分かります。

Dictateの注意点

上記の通りDictateの動作はWeb API有りきとなっているため、ネットワーク非接続の環境では、「Unable to create MicrophoneRecoClient」「Unable to start, please try again after some time」といったエラーが発生し、使用することができません。

おわりに

CNET Japanの記事にある通り、DictateはMicrosoft Garageによる実験的なアドインであるため、今後正式にサポートされる製品であるかどうかは分かりません。

ただ、Dictateの動作は軽快で安定しており、音声入力・翻訳機能は非常に便利で強力です。
WordやPowerPointで資料を作成される方、特に他言語で資料を作成する機会が多い方にはとても役立つツールだと思いますので、興味がある方は是非一度お試しください!

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