@ateitexeさんの下記ツイートで、高橋宣成氏が執筆された「ExcelVBAを実務で使い倒す技術」が何やら人気らしいという事を知り、さっそく買ってきましたので、感想などを書いていこうと思います。
早い!!おめでとうございますー!
私のブログからもよく売れてますよε?(o∀o)?з
https://t.co/i10CI3D9lB— *you (@ateitexe) 2017年5月24日
サイズが丁度良い
内容に触れる前に、まずは見た目の話ですが、本書はA5サイズで、コミックと比べると2周り程度大きく、O’Reillyのような解説本に比べると2周り程小さいサイズになっています。
そのため通勤電車の中でも読みやすく、私としては丁度良いサイズでした。
中身のボリュームも詰め込みすぎているわけではないので、単に読むだけなら一時間程あれば目を通せる内容となっているため、非常に読みやすいと思います。
対象者はVBAをある程度知っている実務者
本書を読んでまず感じたのが、
“本書はVBAをある程度知っている実務者の方が読むのに適している”
ということです。
目次を見れば分かりますが、本書は開発環境であるVBEの解説から始まっているため、「VBAってなに?」「マクロってなに?」「マクロ記録??」というような、全くの初学者の方が読んでも恐らくついていけないでしょう。
初めてVBAを学ばれる方には、Excel MVPの武藤さんが書かれた「ストーリーで学ぶ Excel VBAと業務改善のポイントがわかる本」(下記記事で紹介)をお薦めいたします。
また、本書の後半ではリーダブルコードやGitでのバージョン管理についても触れられていますが、プロの開発者であればすでに知っている内容も多いだろうと思います。
ただ、VBEの使い方やVBAの作法等が丁寧に解説されているため、「他の言語の開発経験はあるけどVBAは初めて」という方にとっても、本書は参考になるでしょう。
そして、私が思う本書に一番適した読者は、上で書いた通り『VBAをある程度知っている実務者の方』です。
特に、
- VBAの基本的な知識があって、マクロ記録をちょこっと直すくらいならできる!
- 独学でVBAを学んで、ちょっとしたマクロを作ったら部署内で使われるようになった!
- 一人情シス、なぜかVBAマクロの管理もやらされることになった…。
なんて人には本書はとても向いているだろうと思います。
実務者の方に向いている理由
本書では、
- VBEの使い方(イミディエイトウィンドウ、ショートカット―キー等)
- マクロで処理しやすいデータの説明
- 処理の書き方が分からないときの調べ方
- 見やすいコードの書き方
- 「個人」ではなく「チーム」としてマクロを管理していくための方法
といったことが解説されていますが、これらはすべて、
“継続してVBAマクロを使い続けていくための手法(開発方法)”
であると、私は感じました。
「前にいたパソコンに詳しい人が作ったVBA製ツールを業務で使ってる。」
「その人辞めちゃって、何だか分からないけど動くから使い続けてる。」
「よく分からないけど、このツールが無いと業務に支障をきたすから使えなくなるのは困る。」
なんて話は日本の会社にありがちだと思いますが、こんな触れるのも恐ろしい蜂の巣のような、ブラックボックスと化したパンドラの箱の最後の希望と成り得るのが、本書で書かれた手法です。
仮に、私が上記のようなブラックボックス・マクロの管理を引き継がなければならなくなったとき、Selection連発、変数・処理内容意味不明、ムダに長い、コメントも無い、そんな状況であれば、即座に逃げ出すことを考えるでしょう。
あるいは、コードも何も見ることなく「うん。ゼロからやり直そう!」、そう判断するかもしれません。
ところが、本書に書かれているような、
- きちんとバージョン管理されている。
- 名前を見るだけで変数やプロシージャの役割が分かる。
- 適切なコメントが書かれている。
といったマクロであったなら、処理内容に変更があったときにも、「おっ!じゃあここだけサクッと直すか!」と、やる気も出てくるわけです。
このように、業務で使われる機会が多いVBAマクロにおいては、“そのマクロを使い続けるためにはどのように書けば良いか?”という視点はとても大切であり、そのための手法が解説された本書は、実際にマクロを書いて運用されている、実務者の方に是非読んでいただきたい良書だと思います。
情報発信してみよう!
本書の一番最後では、蓄積した情報を外部に発信することのメリットについて書かれていました。
もちろん、発信をすることで顧客以外にも様々な人が、あなたとチームの活動に触れる機会を持ちます。
その内容とタイミングがマッチすれば、新たなビジネスにつながるかもしれませんし、勉強会やコミュニティに呼ばれる可能性もあります。採用に結びつくかもしれません。もしくは、全く想像もしないような機会が生まれることもあるでしょう。
そのようなチャンスを確実に狙って実現するのは、難しいことであるのは確かですが、発信して初めてその可能性が生まれるのです。
「ExcelVBAを実務で使い倒す技術」p.284 より
これは私もそう思います。
もちろん、誤った情報を発信するのでは、逆にイメージを落としかねませんが、誰か他の人にも役に立つ情報を発信することで、新たなチャンスが生まれるのは確かです。
また、本書では自分で書いたコードを“ストック”するメリットについても触れられていますが、自分のブログなりHPなりにコードを書いておくことは、まさにこの「ストック」となります。
私自身「○○ site:ka-net.org」と、自分のサイトを検索することが多く、コードを貯めておく意味でも、新たなチャンスを得る意味でも、得た知見を外部に発信することはとても重要なことだと思います。
おわりに
本書では「VBA検索に役立つサイト」として、田中先生のサイトや伊藤さんのサイトが紹介されていました。
さすがです。
このブログもこういった解説書籍で紹介されるくらいのサイトにしたいものだ!
なんて一瞬思いましたが、扱っている内容が尖り過ぎててそれはムリという結論に・・・。
何はともあれ、本書「ExcelVBAを実務で使い倒す技術」は読みやすく、実践的な内容となっているので、興味がある方は是非手にとってご覧ください。
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