先日書いた記事「Office 2016で進化したOffice アドイン」で、Office アドインの機能が追加されたことを紹介しましたが、今回は改めて“Office アドインとはなにか?”ということを紹介したいと思います。
Office アドインとは?
概要といっても、当ブログでは3年ほど前に「Office用アプリ(apps for Office)の概要と開発方法」といった記事を書いていますし、手前味噌ですが、以前日経ソフトウエアで書いた連載が下記リンクにアップされていますので、まずはそちらをご参照いただければと思います。
(当時は「Office 用アプリ(apps for Office)」という名前の機能でしたが、2015年9月現在では「Office アドイン(Office Add-ins)」という名前に変更されています。)
- 第1回 Office用アプリとは何か
- http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140303/540663/
- 第2回 はじめてのOffice用アプリ
- http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140313/543266/
- 第3回 Web APIを使って実用アプリ開発
- http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140331/547162/
- 第4回 Officeストアでアプリを公開する
- http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140424/552962/
要するにOffice アドインとは、“OfficeやOffice Online上で動作するWebアプリ”であり、HTMLやCSS、Java ScriptといったWeb標準技術で開発することができます。
(ここで一つだけ注意したいのが、言語はHTMLでないといけない、というわけではなく、Office アドインのためのJavaScriptライブラリ(JavaScript API for Office(office.js))さえ呼び出せれば、ASPでもPHPでも何でも構わない、ということです。)
Office アドインの構造
Office アドインは、アドイン本体となるWebページと、アドインの場所(URL)や種類、製作者、バージョンなどが記載されたマニフェストファイルで構成されていることが、下図を見ると分かります。
Office ストアやSharePoint、Exchangeや共有フォルダーといった場所に配置されているマニフェストファイルを読み込み、マニフェストファイルに記述されたアドイン本体を読み込むことで機能を実行するわけです。
Office アドインの種類
Office アドインには「作業ウィンドウ アドイン」「コンテンツ アドイン」「メール アドイン」の3種類があり、どのOfficeクライアントでどのアドインが実行できるのかは下記ページに詳細な説明が記載されているので、そちらをご参照ください。
- Office アドインを実行するための要件
- https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/dn833104.aspx
上記ページを見ると、Office OnlineやOffice for iPad、Outlook for Macなど、様々な環境に対応していることが分かります。
このクロスプラットフォームこそがOffice アドインの強みであり、従来のVBAやVSTOアプリケーションと大きく異なるところです。
Office アドインの開発環境
先述の通り、Office アドインはWebアプリであり、最低限HTMLとJavaScriptさえ書ければ良いので、テキスト エディタだけでも開発することができます。
(実際に当ブログではテキスト エディタやVisual Studio Codeを使ったアドインの開発方法を紹介しています。)
とはいっても、デバッグやコード補完の問題もあるので、効率を考えるのであれば、専用ツールである「Napa」や「Visual Studio」を使って開発した方が良いでしょう。
個人的には開発のしやすさは、
Visual Studio > Napa > テキスト エディタ
といった感じです。
Office Developer Toolsを導入すればVisual Studio CommunityでもOffice アドイン開発ができるので、Visual Studioを持っていない方はCommunityでの開発をお薦めします(ただし、利用するためのライセンスにはご注意ください)。
Office アドインを開発するための参考資料
ここまで大雑把にOffice アドインの概要を説明してきましたが、上記説明だけでアドインを作るのはなかなか難しいと思います(マニフェストの詳細も触れていませんし)。
そこで、ここではOffice アドインを作るときに役立つであろうWebページを紹介しておきます。
- Office アドイン
- https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/jj220060.aspx
- Office アドインの XML マニフェスト
- https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/fp161044.aspx
- JavaScript API for Office について
- https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/fp160953.aspx
- テキスト エディターを使用して最初の Word 用または Excel 用の作業ウィンドウ アドインまたはコンテンツ アドインを作成する
- https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/fp142255.aspx
- Napa Office 365 開発ツールを使用して Excel 用コンテンツ アドインを作成する
- https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/jj220065.aspx
- Visual Studio を使用して最初の作業ウィンドウ アドインまたはコンテンツ アドインを作成する
- https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/fp142161.aspx
- Apps for Office sample pack
- https://code.msdn.microsoft.com/office/Apps-for-Office-code-d04762b7
- More Add-in samples
- https://github.com/OfficeDev?utf8=%E2%9C%93&query=-Add-in
- Office 365 & Office アドイン 開発者ブログ
- http://jorudanofficedevelop.hatenablog.com/
- Exceedone Technical Knowledge
- http://tech.exceedone.co.jp/
- ITメモ | 国分すばる の徒然なるままに
- https://netweblog.wordpress.com/
(当ブログでも「Office アドイン」カテゴリーで取り扱っているので、参考にしていただければ幸いです。)
そして「Office アドインを作ってみよう!」という方に最後に二言。
“同じOffice アドインだけど「メール アドイン」だけは別格。他のアドインと同列に考えない方が良い”
“Office アドインはVBAやVSTOを置き換えるものではないので(現時点では)、「何でこんな簡単なこともできないの!?」とイライラしてはいけない”
― 以上です。
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