「Cell_雀」で有名なExcel MVPの武藤さんに著書である「ストーリーで学ぶ Excel VBAと業務改善のポイントがわかる本」の見本誌をいただきました。
武藤さん、オデッセイ コミュニケーションズさん、ありがとうございます!
本書ではVBAエキスパート公式サイトで連載されているコラム「やってみよう!Excel VBAで業務改善!」のシーズン1が収録されています。
(もちろん、コラムの単なる書籍化ではなく、Webサイトには載っていない技術的な解説や演習問題も収録されています。)
私がこの本を読んでまず思ったことは、本書は超実務者向きの本である、ということです。
本書はメーカー勤めのサラリーマン、星くんが”VBAってなに?“という何も分からない状態から、周りの人に支えられつつVBAを学び、徐々に日常業務の課題をVBAで解決していく、という物語仕立てになっています。
八木くんや泉先輩をはじめ、魅力的な登場人物のおかげで物語はサクサク進み、あっという間に最後まで読み切ってしまう、そんな魅力的な本です。
ではストーリー重視で肝心のVBAに関する中身がおざなりになっているのかというと、もちろんそんなことはなく、制御構文や繰り返し処理、変数といったVBAを学ぶ上での重要な概念もしっかり押さえられています。
本書で特徴的なのは、最初からコードの書き方をきっちり詰め込むのではなく、最低限のところでまずは動かしてみる、そして徐々に肉づけをしていく、というように余分なこと(その時点では知らなくて良いこと)を排除して、極力シンプルな形にすることで読者が学習しやすくしている点です。
たとえば、最初は下記のようなコードだったのに対し、
Sub Syori() Dim i For i = 2 To 20000 If Range("A" & i).Font.ColorIndex = 3 Then …………… End If Next i End Sub
物語が進むにつれて、下記のように変数の型を明示したり、ループ回数を決め打ちせず柔軟な形にするようになったりと、出てくるコードが徐々に進歩しています。
Sub Test() Dim i As Long For i = 2 To Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row …………… Next End Sub
著者である武藤さんの、”如何にすれば分かりやすくVBAを習得できるか!?“という気配り(気苦労?)がうかがえますね。
そのため、仕事で開発を行っている所謂プロフェッショナルな方からしてみれば、「何でこんな書き方しているわけ?」と、ツッコみたくなる部分もあろうかと思いますが、本書の目的としている部分は、作法に則った美しいコードを書くことではなく、泥臭くても良いのでまずは書いて動かす、そして徐々に肉づけをしていく。
コードをブラッシュアップしていく中で、より柔軟で可読性の高いものに仕上げていく、その点にあるのだと私は思います。
(もちろん作法に則った美しいコードを書くことはとても大切ですが、徐々に徐々にコードを磨き上げていく中で、自然と美しいコードへと到達していくのではないでしょうか。)
本書では、実務者が日常業務の中で課題を見つけ、それを如何にVBAで効率化していくのか?、そこに主眼が置かれています。
もちろん、業務すべてを何が何でも自動化すれば良い、というわけではなく、VBAによる効率化が向く部分と向かない部分があることについても言及されていて、どのように考えて、どこから手を付けて自動化していけば良いのか、そんなことも分かりやすく解説されています。
業務の効率化という点では、Word MVPで「みんなのワードマクロ」で有名な新田さんが言う”2秒×1000回=30分“、ちょっとしたことの自動化の話に通じる部分がありますね。
これまで述べてきた通り、本書は実務における効率化のヒントがたくさん詰まっています。
日々Excelを使って仕事をしている実務者の方に是非読んでいただきたい本、それが本書「ストーリーで学ぶ Excel VBAと業務改善のポイントがわかる本」です。
最後に、登場人物の一人でVBAの達人である八木くんのセリフのなかで私的に印象に残ったものを紹介します。
“本当に大切なのは、学習したVBAの知識をプログラミングで”活かせる”ことなんだ。
だれかの作ったプログラムをコピーして使うだけじゃダメなんだよ。
自分で作り上げるスキルを身につけるんだ!”
“それともう一つ、必ずファイルのバックアップをとってから、作業を始めるんだ。
VBAで行った処理は元に戻すことができない。
だから万が一うまくいかなくても、最悪、作業を始める前の状態に戻せるようにしておくんだぜ”
“…完成したといっても、このシステムはまだまだ”生まれたてのヒヨコ”のようなものだ。
おそらくこれから、山のようにエラーが出るだろう。
そして”こうしてほしい!”というリクエストも、山のように出てくるはずだ。でも、大丈夫。
それらはシステムを完成されたものへ導いてくれる、大切な”道しるべ”なんだ!”
“…だからまず、このシステムをリリースするんだ。
…みんなに使ってもらいながらエラーを直し、機能を追加し、どんどんバージョンアップさせていく…
そしていつの日か、本当の意味でシステムを完成させるんだ!
業者が作ったおしきせのシステムなんかじゃない!
自分たちで作った世界にたった一つのシステム、自分たちが本当に使いやすい最高のシステムを作り上げるんだ!”
八木くん、良いこと言うな~!
ちなみに、本コラムの登場人物である岬さんは@Mako_MisakiのアカウントでExcelやVBAに関する話題を呟かれています。
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■ 関連Webページ
・【本の紹介】 ストーリーで学ぶ Excel VBAと業務改善のポイントがわかる本: 世の中は不思議なことだらけhttp://snow-white.cocolog-nifty.com/first/2013/07/excel-vba-c7de.html
・「ストーリーで学ぶ Excel VBAと業務改善のポイントがわかる本」がすごい! : GEN MUTO'S BLOG
http://gen2.exblog.jp/19984656/
・【書籍紹介】ストーリーで学ぶ Excel VBAと業務改善のポイントがわかる本|みんなのワードマクロ
http://ameblo.jp/gidgeerock/entry-11571008709.html
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