上野の国立科学博物館で開催されていた企画展「国立公園 -その自然には、物語がある-」に行ってきました。
といっても訪れたのは10月のことで、企画展自体も11月29日で終わっています。
本当はもっと早く感想を書く予定だったのですが、色々あって遅くなってしまいました・・・。
でも訪れた記録を是非とも残しておきたい、素晴らしい企画展だったので、今回撮ってきた写真とともに感想を書いてみようと思います。
クロツチクジラのホロタイプ標本
今回の企画展、私の一番のお目当てはクロツチクジラ(学名:Berardius minimus、英名:Sato’s beaked whale)のホロタイプ標本(新種記載の基準となる標本)です。
クロツチクジラは2019年8月に新種として発表されたクジラで、北海道の捕鯨関係者の間では「カラス」や「クロツチ」と呼ばれていたクジラが、研究の結果、本来のツチクジラとは遺伝的にも形態的にも異なる種であったことが判明したものです。
(サイエンスネット 第69号 2020年11月「クジラの新種?(山田格)」)
クロツチクジラのことは、私が以前感想を書いた本「出動!イルカ・クジラ110番」にも、“国立科学博物館が中心となって、入手した標本から得られたデータのとりまとめが行われており、新種として発表される日は近い”(p.17 より)、と書かれています。
たまたま読んだことがある本で紹介され、それが本当に新種として認められ、そして、そのホロタイプ標本を間近で見ることができるという、今回の企画展は私としてはまたとない機会でした。
しかも、予約制とはいえ平日昼間の時間帯であったためか、企画展会場は人もまばらでほぼ貸し切り状態!頭の先から尾の先まで、心ゆくまでじっくりと観察することができました。
この標本は2008年6月に北海道北見市常呂に漂着した雄の成熟個体で、SNH(ストランディングネットワーク北海道)のサイトにも記録が残っています。
※写真閲覧注意
科学博物館の標本・資料統合データベースでは「ツチクジラ」になっています。
(タイプ標本データベースも検索してみたのですが、そちらではヒットしませんでした。)
上記の「出動!イルカ・クジラ110番」ではSNHの活動について書かれていますが、地道な活動が新種記載という形で実を結んだことは非常に素晴らしいことだと思います。
貴重な標本の数々
私としては、クロツチクジラの骨格標本が見られただけでも十分満足だったわけですが、本企画展の魅力はそれだけではありません。
それぞれの国立公園でしか見ることができない固有種や絶滅危惧種の標本が所狭しと並んでおり、貴重な標本の数々を心ゆくまで堪能できます。
さかなクンが再発見に一役を買った「クニマス」も展示されています。
下の「リシリハマキ」は日本では4個体しか記録が無いそうです。
私のへっぽこな写真技術では良さが全く伝わらないので、ハッシュタグ「 #国立公園展の展示標本紹介 」で検索して、かはくの公式ツイートをご覧いただければと思います。
ずっと見ていられるドローン映像
シアターコーナーでは、ドローンによる空撮映像を大画面4Kモニターで見ることができます。
↑はYouTubeにアップされた予告映像なのでほんの一部だけですが、もうね、すごい!すんごいキレイ!!(語彙力)
ずっと見ていられますし、見ていると実際に国立公園に行きたくなります。
最近のドローンはここまで撮影できるものなのか!?と、本当に驚きました。
まさにかがくのちからってすげー!
感想
個人的には大満足、いえ、超・大満足の企画展でした!
これだけの展示で常設展の入館料630円だけで見られるのは、正直あり得ないレベルだと思います(もちろん、入館料には常設展の観覧も含まれています)。
唯一残念だったのは、図録販売が無かったことでしょうか。
私はこういった企画展を訪れた際は、必ずと言って良いほど図録を購入します。
家に帰って図録を眺め、
「あの展示はこういうことだったのか!」
「あの展示にはこういうストーリーがあったのか!」
と、振り返るのが大好きなのですが、本企画展ではそれができません。
これは本っっっ当に残念っ!
(だからこそ、こうしてブログに書き残しているわけなのですが・・・。)
本企画展、冒頭でも書きましたが、開催期間は11月までなので、もう観に行くことはできません。
ですが、「かはくVR」のコンテンツの一つとして、公開されているので、下記リンクから自宅でも楽しむことができます。
超オススメの企画展ですので、興味がある方は是非上記リンクからお楽しみください!
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